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アンソロ「春と衝動」私的感想など

こんばんは。仕事がようやく山場を抜けました。
私の仕事はいわゆる設計業なのですが、ちょっと特殊な分野の設計で死んでも納期厳守でして。
そんな恐るべき納期が毎週末あるという状況にヒイヒイ言わされておりました。ヒイヒイ。
でも、それもようやくお終いです。三週間ぶりくらいの定時、最高でした。
そういう訳で今夜はじっくり色々書いたりできそうです。頼んでいたCDも届きましたしね!
ちなみに届いたのはこれ。

ACE COMBAT INFINITY & SERIES MUSIC BEST/
エースコンバット サウンド トラック
 


エースコンバットはゲーム自体は勿論、音楽が本当に素晴らしいのです。
私は特にメガリスが好きです。あとやっぱりUnsung Warは外せない!

追記にて、寄稿させて頂いたアンソロジー「春と衝動」の私的な感想を載せました。
私は感想を短くまとめるのが下手な上、仕事が繁忙期で書くのが遅くなりました。
あくまで私の私的な感想で妄想とかも若干入っています。あと普通にネタバレもしてます。
上記のあれこれが大丈夫な方のみ、追記にてどうぞ。
それぞれ「作品名」…作者様、という構成になっています。
あと、本当にあくまで個人的な感想です。その点ご了承ください。



①「あおいてぶくろ(小説)」…ゆみみゆ様

通学バスの運転手と、一足先に大人になってしまった友人。
そして成長の象徴たる長ズボンに隠された膝と、そこにまつわる暗い思い出にまつわるお話。
まず、子供の視点から見た世界の、ありきたりの風景に対する独特の比喩にやられます。
最初ファンタジーもの?と思いきや、紛れもない現代もの。
でもその独特の比喩と主人公の幼くも鋭い視線が絡み合い、それが「成長」と「大人」の物語になる。
幼いながらも主人公が挫折と、親の自分に対する失望を感じているのが切ないです。
親って、子供の前に立ちはだかる最初の幻想なんだよなって思い出しました。
あと「リョートクの××くん」の存在がね…主人公にとって不思議な存在になっているのもね。
膝を触られることが、今後も主人公にとって仄暗くて体の疼く思い出になっていくのかな。
無知ゆえに純粋、子供の視点から見た斜め45度の世界。
最後の長ズボン。この先この子がどうなっていくのか、ちょっとゾクリとしました。



②「根腐れ(絵)/夜半の嵐に消えた(漫画)」…兎我野たま様

「根腐れ」は、とにかく見た方が早いです。
線一本一本に光を孕んでいるようなイラスト。でも一瞬の後には消えてしまいそうな光。
静止画なのに触れたらサラサラと崩れてゆきそう。それがまた美しいなあと思いました。

「夜半の嵐に消えた」は漫画です。
自分よりもずっと中性的で少女じみた美しい友人の、二次性徴を惜しむ主人公の視線が怖くて萌えです。
多分、森くんは主人公から見たら美徳でしかない全てがずっと疎ましかったのかなーとか。
だからそれを惜しむ主人公と、全然分かり合えない感じがまた思春期全開って感じです。
声変わりの始まった森くんの台詞にノイジーな効果が入れられているのも秀逸。
「男の子なんだね、僕よりもずうっと」のコマの主人公の顔が、めっちゃ好きです。
他人事だからなのか、他人のものだからなのか。
失われてゆくものって、多分失う本人より周りの方がじっくり惜しめるのかもしれない。
思春期って正にそうな気がする。真っ只中にいるとその価値が分からないんだよね。
逃げ出す森くんの背中にかぶさる台詞も、寂しいけれど不穏で、胸の奥がすーんとしました。



③「何百、何千というひかりのむこうに(小説)」…八束様

竜に呪われた荒野、そこで暮らす宿命を負う少年・ニコライ。
そして、彼の家の地下で長い時を暮らす足の弱った謎の美青年・ラン。
弱ったハチドリの看病をしつつ、ランの手でニコライは精通を経験するわけなのですが(多分)。
それに対する物語の解釈がとかく深くて美しい。
ともすれば生臭いエピソードになるそれを、ランは「命を繋ぐ準備が出来た」と祝福するのです。
そしてニコライもまた「ランが嬉しいなら悪いことではないんだね」と受け止める。
この一連の流れが本当に素晴らしいです。
私の言葉では多分半分も伝わらないので、作品の中で是非読んで頂きたいです。

思春期に、性の目覚めを「悪いこと」「汚いこと」だと感じることってあると思うのです。
でも、それを「祝福」だと教えてくれる。命として尊いことなのだと示してくれる。
これって誰にでも書けそうで、その実中々書けないものだと思います。
あとランの正体って、やっぱり…竜なのかな。名言はされていないんですけど。
飛ぶために足が退化した、というハチドリの話と足の弱ったランの姿に色々妄想が滾ります。



④「群青(漫画)」…ぺけ様

プール授業って、まずそこが憎い!!!(絶叫)

キラキラと光る水の飛沫が飛んできそうな物語。
男らしくて心配性?な友人・キラの泳ぐ姿を見学している主人公・みーくん(勝手にスミマセン)。
「一緒に泳ぎたかったな」と、後々の「一緒にいられない」が繋がっているのかなーとか。
あと、みーくんは可愛い自分の容姿にそれほど決定的な嫌悪もコンプレックスもなさそうなんだけど。
だからこそ、級友の「お前、生理になるよ。女の子みてーだもん」が後々ズッシリ来る。
自分の体の反応に戸惑って泣きながら、その台詞を思い出してるところとか、可哀想萌えです。
あとキラの「もしみーこが女になったら~」とか、ジーンとしたのは私だけ?

分からないって、性に関することって結構デリケートだと思うのです、個人的に。
小学校高学年のとき、いわゆるセックスを知らない子を知っている男子が馬鹿にしまくっていて。
ああいうことって、普通に教えるにしても相手を傷つけないって難しい気がする。
どうしたって既知の人間に劣等感と羞恥心を感じてしまうことだから。
そこを「治してやるよ」って…キラくん、めっちゃ良い男じゃないですかー!てなりました。




⑤「緑影の国を去らない(小説)」…紺野マユタカ様

兄弟もの、大好物です!

11か月違いの兄弟である芝と露。彼等の間に生じる成長の差と、恋心のお話。
まず近親モノによくある「背徳感」が良い意味でとても綺麗に削ぎ落とされています。
露くんの、あっけらかんと自分の恋心を肯定するところが清々しい。
そして一足先に男になりかけている芝くんが、そんな露くんに戸惑っているのが可愛い。
全体的に、芝くんが兄なんだけど露くんの方が肝が据わっていて男前な感じのバランスも絶妙。
男前美少年、最高です。露くん、きっと美しい獣みたいな美少年なんだろうなあ…。

このお話で私がいいなーって思ったのは、お母さんとお父さんに関するエピソード。
「あおいてぶくろ」の感想でも書いたのですが、親って子供にとって最初の幻想だと思うのです。
芝くんはともかく、露くんはもう親が幻想だって知っていそうな感じがして。
だからこそ、芝くんよりも大人びて見えるのかな。
お父さんに会いに行った理由とか、ちょっと子供ゆえの残酷さを感じました。
その全てが芝くんのためなんだなーと思うと、何かもう尊いです。
将来二人がくっついたらきっと芝くんは露くんに手綱握られてしまうんだろうな…萌える。



⑤「不治の夜より(漫画)」…露木きゆ様

兄弟もの、大好物です(二度目)!

時代物の漫画です。舞台は平安終わりくらい?
暗殺されたのであろう前の天皇の息子たち。盲目の兄を清らかなものとして慕う弟・多奈王。
そんなある日、寺の住職と兄のあれこれを見てしまうのです。
でも、本当に彼を驚かせたのは、実は兄の目が見えているということ。
政治の矢面に立ちたくないが故に盲目だと己を偽る兄に対する多奈王の台詞が切なくて優しいです。
あと私は弟×美しい兄の構図がめっちゃ大好きなので…お兄様、最高です。
兄の弱さを受け止めて、多奈王は強くなり、少年から男になったのかな、なんて。
そんなことを考えながら読んでいました。

個人的には多奈王の後の妻・季子様がとても好きです。
多奈王を責めるでもなく、かといって諦めているとかそういう方向でもない。
彼女には彼女の目指す場所があって、きちんと一人で立っている感じの女の子、大好き。
ストーリーも無論なのですが一人一人のキャラクターが細やかで愛おしい作品でした。



⑥「翅塚の朝(小説)」…まゆみ亜紀様

「翅」を持つ少年たちの学び舎における、「翅塚」と「翅を落とす」ことにまつわる物語。
美しくあどけないが故に、早く大人になりたいと願う主人公・摂。
そんな彼の元に半年ぶりに戻ってきた美しい級友・花嵐。その背中には「翅」がない。
「翅を落とす方法」を教えるといって、蛇の宿題を課す怪しい先輩・幽。
個人的には悪いお兄さん大好きなので、幽先輩にこっそり萌えました。

まさしく「春と衝動」を体現するようなストーリーです。一分の隙もない、完全なる物語。
最終的に摂は翅を落とすわけですが…彼は憧れていた「大人」の世界の暗い部分に触れてしまうわけで。
それを一足先に知っていた花嵐の胸中を思うと不憫で、だけどそこがまた仄暗い恍惚をくれるといいますか。
「これが大人の世界?」「そうかもね」のやり取りが…あああああ、ってなります。
少年期の終わりは、同時に大人の自分と対峙することになるわけで。
摂はこれからどうするんだろう。大人になるにしても、歪なものを抱えてゆくのかな。
だとしたらそれがまた彼を美しく、業の深い存在にしてしまう気がする。
個人的に、この翅塚は他の生徒のお話も読んでみたいです。シリーズ化を切に望む!



お粗末さまでした!

ちなみに自分の作品に関して1つだけ。当初のタイトルは「ブルーバード」でした。以上。
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